ずっと君と・・・ 4

息を切らしながらハクはトンネルを抜けた。これで千尋との約束を果たすことができる。
そう思った矢先だった。ハクはトンネルを出たところで急に倒れてしまったのである。
それは先程受けた傷のせいだった。
助けを呼ぼうにも声も出せない。しかし今になってトンネルの向こう側に戻ることすら許されない。
意識がもうろうとする中でハクは千尋を呼び続けた。
すると誰かの足音が聞こえてきた。どうやらトンネル目当てにやって来た者らしい。

緑の虚ろな瞳がふと足音の方向を仰いだ。
そこには十歳くらいの少女が一人たたずんでいた。
少女はハクに気がついたらしく駆けてきて声をかけた。
「えっ、ちょっとあなた傷だらけじゃないの。いったい何があったの?」
その少女は紛れもなく千尋だった。しかしハクは一言も答えられずに瞳を閉じてしまった。